整骨院の求人を探していると、院長候補や分院長募集といった募集をよく見かけます。給与も一般のスタッフより高めに設定されていることが多く、キャリアアップを考える柔道整復師にとっては魅力的に映ります。ところが、その求人票を見ただけでは、そこで言う院長がどんな立場で、いつ、どうやって院長になれるのかまでは見えてきません。
私たちは複数の院を運営し、院長を育てる側の立場にあります。だからこそこの記事では、求人を並べるのではなく、整骨院の院長という仕事が実際どういうものなのかを、運営する側の視点からお伝えします。院長の種類と仕事内容、年収の仕組み、院長候補求人の見極め方、そして院長になるまでの道筋と教育体制まで、順を追って解説します。
まず整理しておきたいのが、院長には立場の異なる二つの種類があるという点です。一つは、会社に雇用されながら院の運営を任される、いわゆる雇われ院長です。もう一つは、自分で施術所を開設した独立開業の院長です。求人票に載る院長候補や分院長は、そのほとんどが前者、つまり雇われ院長を指します。
| 立場 | 収入の源泉 | 主な責任 | リスク |
|---|---|---|---|
| 雇われ院長 | 給与・役職手当・院の成果に応じた手当 | 院の売上、スタッフの育成、運営 | 会社員としての範囲にとどまる |
| 独立開業の院長 | 院の利益がそのまま収入になる | 経営のすべて | 開業資金や経営リスクを自ら負う |
この二つは、収入の決まり方も、負う責任も、リスクも異なります。院長を目指すと言っても、会社のなかで院を任される立場を目指すのか、いずれ自分の院を持つことを目指すのかで、選ぶべき就職先は変わってきます。求人を見るときは、その院長がどちらを指しているのかを、まず読み分けてください。
雇われ院長の仕事は、施術だけではありません。自らも患者さんを施術しながら、院の売上に責任を持ち、スタッフを育て、日々の運営を回す、いわゆるプレイングマネジャーの役割を担います。施術の腕だけでなく、数字を見る力や、人を育てる力が求められる立場です。
この点を理解しておくことは、院長を目指すうえで欠かせません。施術が得意なだけでは院長は務まりませんし、逆に、施術から離れて管理だけをするわけでもありません。両方を担うからこそ、一般のスタッフより責任は重く、そのぶん収入や裁量も大きくなります。院長候補の求人に応募するときは、自分がこのプレイングマネジャーの役割に向き合う覚悟があるかどうかも、あわせて考えておくとよいでしょう。
院長を目指す人がもっとも気になるのが、年収でしょう。ここは正直にお伝えするために、まず全体の水準から確認します。柔道整復師を含む、その他の保健医療従事者の平均年収は、およそ454万円という統計があります(出典:厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査)。院長や役職に就くと、役職手当や、院の成果に応じた手当が加わるため、この平均を上回る水準を目指しやすくなります。
ただし、雇われ院長の年収は、院の給与規定や手当の設計によって幅があります。基本給に役職手当が上乗せされる形の院もあれば、院の売上に連動するインセンティブが大きい院もあります。求人票の額面だけでなく、その内訳と、どうすれば収入が伸びるのかという仕組みまで確かめることが大切です。独立開業の院長の場合は、院の利益がそのまま収入になるため上限はなくなりますが、そのぶん経営のリスクを自ら負うことになります。年収の高さだけでなく、その収入がどのような責任と結びついているのかを、あわせて見てください。
院長候補という言葉は、求人でよく使われます。けれど、その中身には大きな幅があります。応募の前に、次の項目を確かめてください。表の左が確かめる項目、中央が見るポイント、右がなぜ大事かです。
| 確かめる項目 | 見るポイント | なぜ大事か |
|---|---|---|
| 院長になる基準 | いつ、どんな条件で院長になれるか | 名ばかりの候補で終わらないか |
| 評価制度 | 昇格の基準が明文化されているか | 努力が正当に反映されるか |
| サポート体制 | 院長就任後に相談できる仕組みがあるか | 孤立せず運営できるか |
| 収入の設計 | 役職手当やインセンティブの内訳 | 収入がどう伸びるか |
| 教育体制 | 技術と運営をどう学べるか | 院長として通用する力がつくか |
とりわけ確かめたいのが、院長になる基準と評価制度です。院長候補として採用されても、いつ、どうすれば院長になれるのかが曖昧なままでは、いつまでも候補のまま据え置かれることになりかねません。昇格の基準が明文化され、達成すべき条件がはっきりしている院ほど、努力が報われやすいと言えます。もう一つ見落としたくないのが、院長になった後のサポート体制です。院長は責任が重いぶん、孤立しやすい立場でもあります。就任後に相談できる仕組みや、複数の院で知見を共有する場があるかどうかは、長く続けられるかを左右します。
院長は、ある日突然なれるものではありません。まずは施術者として技術を積み、患者さんから信頼される力を身につける。そのうえで、数字を見る力や、後輩を育てる力を段階的に習得していく。この積み重ねの先に、院長という役割があります。だからこそ、院長を目指すなら、その土台となる技術と運営を、どんな環境で学べるかが決定的に重要になります。
求人票には、ほぼすべての院が研修ありやキャリアアップ可能と書きます。同じ言葉でも実態には幅があるため、次の三つを確かめてください。一つ目は、誰が教えるのかです。技術も運営も、教える役割が決まっていて仕組みが整っているか。二つ目は、いつ教わるのかです。学びが勤務時間内に組み込まれているか、それとも各自任せか。三つ目は、何を、どの順で学べるのかです。施術の技術をどこまで身につけたら、次に運営やマネジメントを学ぶ段階へ進むのか、その道筋が見えていると、院長までの距離が読めます。これらは求人票では分からないため、面接や職場見学の場で、院長になった先輩がどのくらいの期間で、何を学んで昇格したのかを尋ねてみてください。
ここまでを踏まえると、院長を目指す人が就職先を選ぶ基準は、はっきりしてきます。目先の給与の高さよりも、昇格の道筋が明確で、評価制度が整い、技術と運営を段階的に学べる院を選ぶことです。こうした院であれば、院長という役割は、努力の延長線上に現実的な目標として見えてきます。
もう一点、保険中心の院か自費中心の院かによって、院長の役割も変わることを知っておいてください。保険中心の院で健康保険を扱う施術管理者を兼ねる場合には、令和6年4月以降、3年間の実務経験が要件となります(出典:厚生労働省 施術管理者の要件について)。一方、自費中心の院の院長は、保険請求の管理よりも、施術の質と院の運営に軸足が置かれます。自分がどんな院長になりたいのかを描いておくと、選ぶべき就職先が定まってきます。
院長候補の求人は、求人票だけを見比べても、そこで本当に院長になれるのか、なるまでにどんな道筋があるのかまでは分かりません。本当に知りたいことがあるなら、実際に複数の院を運営し、院長を育てている側に直接聞くのが近道です。
私たちmayplus-recruitは、東京・埼玉・千葉で自費の施術所を展開するCUREPROの採用窓口です。当社は複数の院を運営し、スタッフが技術を積み、院長へと成長していく道筋づくりに力を入れています。当社の平均給与は42.7万円ですが、これは自費で技術に対価をいただく仕組みのため、実力が伸びるほど収入も伸びる、天井の高い環境だということです。院長になるまでにどのくらいの期間で何を学ぶのか、評価や昇格の仕組みがどうなっているのか、院長になった後のサポートはどうか。運営する立場から、正直にお話しします。院長を目指すうえで迷ったら、応募の前でも構いませんので、一度ご相談ください。
監修
阿部 純治(柔道整復師)
株式会社May-Plus 代表取締役。柔道整復師として臨床に携わったのち、東京・埼玉・千葉で自費の構造改善専門院CUREPROを展開。施術者から院長までの育成に取り組む。