
三郷市で「柔道整復師 求人」と検索すると、求人サイトによって23件、35件、135件と、件数がまるで違う数字で並びます。同じ市内、同じ職種であるにもかかわらずです。この差は、掲載基準の違いとポータルサイトごとの重複掲載によって生まれたものであって、三郷市に実在する働き口の数を表しているわけではありません。
つまり、求人の「数」を眺めている限り、判断材料はほとんど増えていかない、ということになります。
この記事では、公的統計と業界の制度変更を手がかりに、三郷市という地域で柔道整復師として働くときに何が起きるのかを構造から読み解いていきます。求人票の読み方、給与の分解の仕方、そして「3年後の自分がどこにいるか」を左右する判断軸まで踏み込みます。書いているのは、東京・埼玉・千葉で10院の全額自費の整体院を運営し、三郷市内にも2院を構える株式会社May-Plus(CUREPRO)です。
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まず、事実関係を押さえます。
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)」によれば、令和6年末時点の就業柔道整復師は全国で78,666人、前回調査(令和4年)から1,034人、率にして1.3パーセントの増加でした。一方、柔道整復の施術所は50,924か所で、前回比わずか8か所の増加にとどまっています(厚生労働省・令和6年衛生行政報告例の概況)。
この2つの数字を割り算すると、1施術所あたりの柔道整復師数は約1.54人になります。10年ほど前は1.3人前後でしたから、じわりと増えている計算です。
施術所数がほぼ横ばいで、有資格者だけが増える。この状態が続くと何が起きるでしょうか。
新規開業の受け皿が細り、勤務柔道整復師として院に留まる人が増えます。つまり、資格を取れば数年で独立という従来の出口が、統計上すでに詰まりはじめているということです。開業数が伸びない理由は後述する制度変更にありますが、いずれにせよ、求職者側から見れば「就職先は探せば見つかる。ただし、その先のキャリアは自動的には開けない」という環境に入っています。
三郷市の求人件数が多く見えるのも、この文脈の中で理解するのが正確です。募集が出ている、という事実は、その院で働き続けられるかどうかとも、そこで技術が身につくかどうかとも、別の話なのです。
三郷市の人口は141,804人、世帯数は69,854世帯(令和8年6月1日現在/三郷市公式サイト)。つくばエクスプレスの三郷中央駅、JR武蔵野線の三郷駅・新三郷駅、そして東京都葛飾区・足立区と隣接する地理条件から、市内に住む人が都内で働き、都内に住む人が市内に通うという双方向の流動が起きています。
求職者にとって重要なのは、三郷市の求人が「三郷市在住者だけの市場」ではないという点です。北千住や綾瀬まで20分圏内であることは、あなたの通勤先の選択肢が広いという意味であると同時に、あなたが応募する院にも都内在住の応募者が来るという意味でもあります。
ここで、都道府県別の資格者密度を見てみます。先ほどの衛生行政報告例に総務省の人口推計を組み合わせると、人口10万人あたりの就業柔道整復師数は、全国が約63.5人、埼玉県が約63.2人、東京都が約83.0人、大阪府に至っては約109.4人です。埼玉県は、資格者の密度で見れば全国平均とほぼ同じ、東京都より2割以上「薄い」地域だということになります。
競合が薄いから稼げる、という単純な話ではありません。ただ、患者数に対して施術者が過剰供給になっている都心部と比べれば、三郷市を含む埼玉県東部は、一人の施術者が担当する患者数を確保しやすい構造にあります。給与原資の話をするなら、まずここを押さえておく価値があります。
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三郷市の求人票を並べると、月給26万円から33万円あたりに大半が収まります。「月給最大33万円」「前職給与半年保証」といった見出しも並びます。ここで多くの人がやってしまうのが、いちばん大きい数字を選ぶ、という比較です。
意外に知られていない事実があります。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」に、柔道整復師という独立した職種区分はありません。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師とまとめて「その他の保健医療従事者」という区分で集計されています(厚生労働省・賃金構造基本統計調査)。
この区分での平均年収は、直近の調査でおおむね450万円前後、企業規模10人以上の平均月給は30万円台前半という水準にあります。求人サイトが「柔道整復師の平均年収」として掲げる数字も、その多くはこの区分の数値を転載したものです。
ですから、求人票の月給と平均年収を比べて安心したり落胆したりするのは、精度の低い作業だと考えてください。母集団が違うのですから。
同じ月給30万円でも、中身はまったく違います。次の3つを面接で確認するだけで、実質的な条件がかなり明確になります。
| 確認項目 | 具体的に聞くこと |
|---|---|
| 固定残業代 | 何時間分・いくらが月給に含まれているか |
| 賞与・歩合 | 基本給と月給総額のどちらを算定基礎にするか |
| 昇給基準 | 誰が、どの評価項目を見て昇給を決めるか |
第一に、その30万円に固定残業代が何時間分、いくら含まれているか。整骨院・整体院の求人では、月20時間から45時間分の固定残業代を基本給に組み込んでいる例が珍しくありません。仮に45時間分が含まれていれば、時間単価は同額の別院より2割以上低くなります。
第二に、賞与や歩合の算定基礎が基本給なのか、月給総額なのか。基本給が18万円で諸手当12万円という設計なら、賞与2か月分は36万円であって60万円ではありません。
第三に、昇給の判断を誰が、何を見て行うか。ここが最も重要です。「昇給あり」と書かれた求人は無数にありますが、昇給基準が言語化され、評価表として開示されているかを確認してください。基準がなければ、昇給額は上長の裁量と院の景気に左右されます。3年後の自分の年収を予測できるかどうかは、この一点に集約されると言っても過言ではありません。
CUREPROの平均給与が月42.7万円である理由も、単価が高いからではなく、評価基準を公開し、何をどこまでやれば給与がいくら上がるのかを事前に見えるようにしているからです。数字そのものより、数字の決まり方をご覧いただきたいと考えています。
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三郷市の求人を分類すると、整骨院・接骨院、整体院、そしてデイサービスや有料老人ホームの機能訓練指導員という3つの類型に分かれます。このうち整骨院・接骨院は健康保険の療養費を収益の柱としており、ここに近年、無視できない変化が起きています。
厚生労働省は令和8年6月1日付の通知で、柔道整復療養費の算定基準を改定しました。改定率はプラス0.60パーセント。初検料は1,550円から1,560円へ、後療料も引き上げられています(厚生労働省・柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について)。
数字だけを見れば増額改定です。ところが同じ改定で、2部位目の算定が80パーセント、3部位目が60パーセントへと逓減が強化されました。さらに令和9年1月以降は、直近12か月のうち通算8か月以上かつ累積9部位以上の施術を受けている患者について、償還払いへ変更する定量的な基準が導入されます。
読み解くと、単価はわずかに上げるが、多部位・長期・頻回の請求は締める、という一貫した方針が浮かび上がります。この方向性は平成30年以降ずっと変わっていません。
同じく厚生労働省の資料では、柔道整復療養費の患者の年齢分布において最も割合が高いのは70代であり、この傾向は過去3年間変わっていないと報告されています(柔道整復療養費の令和8年度改定の基本的な考え方)。
主要顧客が70代に偏った市場で、単価が抑えられ、請求要件が厳格化していく。この構造を前提に、自分が40代、50代になったときの働き方を想像してみてください。保険の枠組みの中だけで技術と収入を伸ばし続けるのは、率直に言って難易度が上がり続けます。
三郷市に「完全自由診療」「特殊治療学べる」といった訴求を掲げる求人が複数存在するのは、地域の院がこの構造変化に反応している証拠でもあります。
ここは、私たちが求職者の方に最初にお伝えしている内容です。都合の悪い話ですが、隠す理由がありません。
受領委任を取り扱う施術管理者になるには、令和6年4月以降、通算3年以上の実務経験が必要です。この実務経験は「受領委任の取扱いを行うとして登録された施術所」での勤務期間を指し、保険医療機関での期間は最長2年まで、介護施設や未登録の施術所での期間は算入されません(北海道厚生局・施術管理者の要件について)。
CUREPROは全額自費で、保険請求を行っていません。したがって、当院での勤務期間は、この3年の実務経験にカウントされない可能性が高いと考えられます。将来、保険を取り扱う整骨院を開業したいと明確に決めている方にとって、当院で働く時間は遠回りになりえます。
逆に言えば、保険に依存しない技術と価格設定で経営していく道を選ぶなら、この3年要件はそもそも関係がありません。どちらが正しいかではなく、どちらの道を歩くのかという選択の問題です。面接の前にこれを共有しておかないと、お互いに不幸な時間を過ごすことになります。
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求人票からは読み取れない部分に、判断材料の大半があります。見学と面接で確かめてほしい観点を、優先度の順に並べます。
「研修制度充実」「未経験OK」という文言は、ほぼすべての求人に載っています。確認すべきは中身です。誰が教えるのか、週に何時間か、営業時間内か時間外か、時間外なら賃金は発生するのか。この4つを聞けば、教育が制度なのか、先輩の善意なのかが判別できます。
CUREPRO三郷店の求人で「未経験から3か月でデビュー」「6つの研修と専属メンター体制」とお伝えしているのは、デビューまでの期間と担当者を先に決めているからです。曖昧な言葉で募集して、入職後に埋め合わせをするやり方は、結局のところ離職を生みます。
前述のとおり、ここが給与の未来を決めます。「評価基準を見せてください」と面接で言ってみてください。その場で出てくる院、後日送りますと言う院、口頭で説明する院に分かれます。反応そのものが、組織の成熟度を表します。
年間休日105日、110日、120日という選択肢が示される職場と、一律120日の職場では、意味合いが異なります。前者は、稼ぎたい時期と休みたい時期が人生の局面によって変わることを前提にした設計です。20代前半で技術を詰め込みたい人と、子育て期に入った人では、最適解が違って当然でしょう。
三郷市の求人には、急性外傷を扱う院、スポーツ障害を中心に扱う院、介護施設で機能訓練を担う院が混在しています。日々どんな症例が来るかが、そのままあなたの臨床経験の中身になります。
CUREPROは慢性痛と難治性症状、そしてスポーツ障害を扱い、外傷性のものは扱いません。外傷は有資格者による対応が必要な領域であり、私たちの構造改善という手法の射程外だからです。骨折や脱臼の整復を軸にキャリアを築きたい方には、率直に、別の環境をおすすめします。
独立、分院長、専門特化、教育担当。どの出口が、どんな条件で開くのか。前例が何人いるのか。ここを具体的に答えられない組織は、出口を設計していない可能性があります。
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質問を用意していくと、面接の情報量は倍になります。答えの内容より、答え方に組織が出るからです。
※すべてに具体的な数字と固有名詞で答えられる院なら、情報開示の姿勢を確認しやすくなります。
なお、CUREPROでは一次面接に代表の阿部が同席します。採用の意思決定者と最初に話すほうが、お互いの認識のずれが早く見つかるという単純な理由からです。
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新卒の方にとって、最初の3年は技術の土台をつくる期間です。この時期は、「どれだけ多く回したか」より「どれだけ深く一人を診たか」が、その後の伸びを決めていきます。回転数を求められる環境では、深さは手に入りません。
中途で転職を考えている方の多くは、給与よりもキャリアの見通しに不安を抱えています。実際、私たちが面談でお会いする方の相談内容は、月給の額よりも「このまま5年いたら自分はどうなるのか」という問いに集中します。転職の判断軸は、次の職場の初任給ではなく、3年後の到達点に置いてください。
一度業界を離れ、戻ろうか迷っている方へ。あなたが離れた理由は、おそらくあなた個人の適性の問題ではありませんでした。保険点数に依存した収益構造の中で、施術時間を削り、患者を回し、それでも給与が上がらない。その構造に耐えられなかっただけだと、私は考えています。構造が変われば、結果も変わります。
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私たちは東京・埼玉・千葉で10院を運営し、三郷市内には三郷店と三郷中央店の2院があります。全額自費で保険請求を行わず、慢性痛から難治性の症状まで、構造から身体を変えるアプローチを続けてきました。
平均給与は月42.7万円、年間休日は選択制、評価基準は表として公開しています。一次面接には代表が同席します。そして、保険を扱わない以上、当院での勤務が施術管理者の実務経験に算入されない可能性があることも、最初にお伝えしています。
すべての方に合う環境ではありません。ただ、求人票の月給を並べ替えるだけでは見えてこないことが、この仕事にはあまりに多くあります。転職するかどうかを決める前の段階で構いませんので、見学だけ、あるいは話を聞くだけでもお越しください。三郷市という地域で、あなたの3年後がどこに着地しうるのかを、数字と制度に基づいて一緒に検討させてください。
自分の手で人を良くできる技術は、どんな制度改定にも奪われません。その技術をどこで身につけるかという問いに、私たちは正面からお答えします。
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阿部純治(柔道整復師/株式会社May-Plus 代表取締役)
日本大学法学部卒業後、中央医療学園にて柔道整復師の国家資格を取得。東京・埼玉・千葉で全額自費の構造改善整体院CUREPROを10院展開。「人生のパフォーマンスを上げる整体」を掲げ、薬に頼らず本来の力を引き出す施術と、施術者が長く働き続けられる組織づくりに取り組んでいます。