2026.07.15

整骨院の残業は本当に多いのか|固定残業代と労働時間の見方

整骨院で働くことを考えるとき、残業はどれくらいあるのだろうという不安を抱く方は多いものです。整骨院は残業が多い、労働時間が長いというイメージが、業界の外にも内にもあるからでしょう。実際、残業を理由に転職や退職を考える人は少なくありません。ここを曖昧にしたまま就職を決めてしまうと、後になって働き方のギャップに苦しむことになりかねません。

採用する側から一つお伝えすると、整骨院の残業は、院によって大きく異なります。長時間の残業が常態化している院もあれば、労働時間をきちんと管理している院もあり、ひとくくりにはできません。そして、残業を見極めるうえで欠かせないのが、求人票に書かれた固定残業代を正しく読み解くことです。この記事では、整骨院の残業が多いと言われる背景を押さえたうえで、固定残業代の読み方、労働時間の基本的なルール、そして残業で職場を見極める視点を、採用する側の視点で解説します。

整骨院の残業は、なぜ多いと言われるのか

整骨院の残業が多いと言われる背景には、営業の形態があります。多くの患者さんが仕事帰りに来院するため、平日は夜遅くまで診療する院が多くなります。診療が終わってからも、院内の片付けやカルテの記入、翌日の準備などが残り、退勤が遅くなりやすいのは事実です。加えて、技術を高めるための勉強会や練習が、診療後に行われることもあります。

ただし、これはあくまで傾向であって、すべての整骨院に当てはまるわけではありません。近年は働き方への意識が高まり、労働時間をきちんと管理し、残業を抑える院も増えています。残業が多いというイメージだけで整骨院への就職をためらうのは、もったいないことです。大切なのは、一つひとつの院の残業の実態を、正しく見極めることです。

求人票の「固定残業代」を、正しく読み解く

残業を見極めるうえで、最も注意して読んでほしいのが、固定残業代です。みなし残業代とも呼ばれ、あらかじめ一定時間分の残業代を、毎月の給与に含めて支給する仕組みです。整骨院の求人には、この固定残業代が組み込まれていることが少なくありません。

固定残業代そのものは、法律に沿って運用されていれば問題のない仕組みです。ただし、確かめておくべき点が二つあります。一つは、その固定残業代が何時間分の残業に相当するのかです。月20時間分なのか、40時間分なのかで、想定されている残業の量は大きく変わります。もう一つは、その時間を超えて残業した場合に、超過分がきちんと別途支給されるのかです。ここが曖昧だと、いくら残業しても給与が変わらないという事態になりかねません。月給の額面が高く見える求人ほど、その金額に固定残業代がどれだけ含まれているのかを確かめてください。額面の大きさに惑わされず、基本給と固定残業代を分けて見ることが大切です。

知っておきたい、労働時間の基本ルール

残業について考えるうえで、労働時間の基本的なルールも押さえておきましょう。整骨院も、他の職場と同じように労働基準法の対象です。法律では、労働時間は原則として1日8時間、1週間で40時間までと定められています。これを超えて働く場合、いわゆる時間外労働には、通常より割り増しされた賃金が支払われることになっています。そして、時間外労働をさせるには、会社と労働者の間で、いわゆる36協定と呼ばれる取り決めを結ぶ必要があります。

これらは、働く人を守るための基本的な仕組みです。求人票や面接の場で、残業代の扱いや労働時間の管理について、あいまいにされたり、はぐらかされたりする院には注意が必要です。逆に、こうした点をきちんと説明できる院は、労働環境の整備に真剣に取り組んでいると考えられます。なお、個別の運用について詳しく知りたい場合は、厚生労働省や労働基準監督署が公開している情報も参考になります。

残業と、技術の成長の線引き

整骨院ならではの、少し難しい問題があります。それは、診療後の勉強会や練習を、残業と捉えるか、自己研鑽と捉えるかという線引きです。技術を高めたい人にとって、診療後に先輩から学べる時間は貴重です。一方で、それが実質的に強制であれば、労働時間として扱われるべきものになります。

ここで大切なのは、その時間が勤務時間内に組み込まれているのか、それとも時間外の自主参加なのかを、はっきりさせておくことです。教育に力を入れる院ほど、学びの時間をどう位置づけているかが問われます。理想は、技術を学ぶ時間が勤務時間内にきちんと確保されていることです。残業の話は、実は教育体制の話と地続きです。求人票で研修ありと書かれていたら、その研修がいつ行われ、労働時間としてどう扱われるのかまで確かめておくと、入職後のずれを防げます。

残業で職場を見極める — 求人票と面接の読み方

ここまでを踏まえて、残業をどう見極めればよいかを整理します。表の左が確かめる項目、中央が見るポイント、右がなぜ大事かです。

確かめる項目見るポイントなぜ大事か
固定残業代何時間分か、超過分は別途支給か実際の残業と支給のずれを防ぐ
基本給との内訳額面のうち基本給がいくらか給与の本当の水準が分かる
診療後の拘束片付けやカルテの時間の扱い実際の拘束時間が分かる
勉強会・練習勤務時間内か、時間外の自主参加か残業か自己研鑽かの線引き
残業時間の実績平均の残業時間を聞けるか数字と実態のずれを確かめる

とりわけ確かめたいのが、残業時間の実績です。求人票に残業少なめと書かれていても、実際にどのくらいの残業があるのかは、数字を見なければ分かりません。面接や職場見学の場で、先輩が普段どのくらいの時間に退勤しているのかを、遠慮せず尋ねてみてください。答えをはっきり示してくれるかどうか自体も、その院が労働時間にどれだけ向き合っているかの手がかりになります。柔道整復師の転職理由や退職理由には、残業や労働時間への不満が挙がることが少なくありません。だからこそ、入る前にこの点を確かめておくことが、長く働くための備えになります。

残業や働き方に迷ったら、相談する

残業や労働時間は、長く働き続けられるかを左右する大切な条件です。けれど、その実態や、成長のための学びとの線引きは、求人票を眺めているだけでは見えてきません。自分に合った働き方を見つけたいなら、実際に施術者を雇い、育てている側に直接聞くのが近道です。

私たちmayplus-recruitは、東京・埼玉・千葉で自費の施術所を展開するCUREPROの採用窓口です。当社は、働き方を選べる年間休日選択制を取り入れるなど、施術者が長く働ける環境づくりに力を入れています。当社の平均給与は42.7万円ですが、これは自費で技術に対価をいただく仕組みのため、実力が伸びるほど収入も伸びる、天井の高い環境だということです。残業や労働時間の実態はどうなのか、学ぶ時間はどう位置づけられているのか、自分にはどんな働き方が向いているのか。育てる立場から、正直にお話しします。残業や働き方で迷ったら、応募の前でも構いませんので、一度ご相談ください。

監修

阿部 純治(柔道整復師)

株式会社May-Plus 代表取締役。柔道整復師として臨床に携わったのち、東京・埼玉・千葉で自費の構造改善専門院CUREPROを展開。働き方の選択肢を含め、施術者が長く働ける環境づくりに取り組む。