整体師の求人に応募するとき、志望動機の欄で手が止まる人は少なくありません。とくに未経験から挑戦する場合、資格でアピールできないぶん、何を書けば伝わるのかが見えにくいものです。無難な言葉で埋めてしまい、あとで手応えのなさを感じる。そんな経験に心当たりがあるかもしれません。
採用する側から一つお伝えすると、整体師の志望動機は、他の職種よりも重く読まれます。整体師は国家資格が必須ではないため、採用担当は資格の有無で応募者を測ることができません。だからこそ、志望動機とそこから伝わる人柄が、判断の大きな部分を占めます。この記事では、採用担当が志望動機のどこを読んでいるのかを明かしたうえで、未経験や異業種、経験者それぞれの例文と、避けたいNG例、そして就職先と教育体制の選び方までを、採用する側の視点で解説します。
先ほど触れたとおり、整体師は資格を前提としない仕事です。柔道整復師のような国家資格があれば、採用側は一定の知識や技術の土台を前提にできますが、整体師の採用ではその前提が置けません。目の前の応募者が、入職後に伸びる人かどうかを、限られた材料から見極める必要があります。その材料の中心になるのが、志望動機です。
もう一つ、採用側が未経験の応募者に対して抱きやすい不安があります。早期離職です。整体の仕事に憧れて応募したものの、実際に始めてみると体力的にきつく、思い描いていた姿と違ったと感じて、早々に辞めてしまう。こうした例を採用側は数多く見てきています。だからこそ、仕事の現実を理解したうえで、それでも続けたいという意思が伝わる志望動機は、強く印象に残ります。
整体師の志望動機を読むとき、採用担当が確かめているのは、おおむね次の3つです。一つ目は、なぜこの店舗やこの院を選んだのか、その理由が具体的かどうかです。どの整体院にも出せる使い回しの文章は、その時点で他の応募者との差を失います。二つ目は、整体という仕事の現実を、どこまで理解しているかです。癒しの側面だけでなく、体力を使う仕事であることや、技術の習得に時間がかかることを踏まえているかどうかで、続けられそうかが見えてきます。三つ目は、学ぶ姿勢と続ける力です。未経験であればなおさら、これから学んで貢献したいという前向きさが問われます。
この3つがそろった志望動機は、短くても強く印象に残ります。逆に、この3つを外した志望動機は、どれだけ言葉を尽くしても、読み飛ばされてしまいます。
ここからは、立場別の例文を示します。丸写しするためのものではなく、構成の型を体で覚えるための下敷きとして使ってください。それぞれの後に、採用する側から見てどこが効いているのかを添えます。
学生時代にスポーツで身体を痛めた際、通っていた整体院で身体が軽くなる感覚を味わい、人の身体を整える仕事に興味を持ちました。数ある店舗のなかで貴店を志望したのは、未経験者を一から育てる研修に力を入れ、技術を体系的に学べる環境だと知ったためです。まずは基礎からしっかり身につけ、お客様一人ひとりの状態に合わせて対応できる施術者を目指したいと考えています。
採用側の視点で言えば、未経験でありながら、なぜ貴店なのかという理由が研修環境にまで踏み込んでいる点が効いています。癒したいという願望だけで終わらせず、学んで技術者になるという意思が見えるため、続けてくれそうだという安心につながります。
前職はアパレルの販売職として3年間、お客様の要望を丁寧に聞き取り、一人ひとりに合った提案をしてきました。日々の接客のなかで、肩こりや姿勢の悩みを抱えるお客様が多いことに気づき、身体の不調に向き合える整体の仕事に強く惹かれました。未経験ではありますが、相手の話を聞き取る力は、お客様の状態を把握するうえで活かせると考えています。技術を一から学びながら、長く貢献していきたいです。
異業種からの転職では、これまでの経験の何が活きるのかを具体的に示せるかで印象が変わります。この例文は、接客で培った傾聴力を、整体の仕事にはっきり結びつけている点が良いところです。未経験の不安を、前職の強みと学ぶ姿勢で補えているため、採用担当は入職後の姿を想像しやすくなります。
これまで3年間、もみほぐし中心のリラクゼーション店で施術に携わってきました。数をこなすなかで、お客様の身体の状態をより深く見立て、一人ひとりに合わせた施術ができる技術を磨きたいという思いが強まり、身体の状態に合わせた施術を大切にする貴院を志望しました。前職で培った接客と体力を土台に、貴院の技術を吸収し、いずれは後輩の指導も担える施術者へ成長していきたいです。
経験者の転職では、辞めた理由をどう語るかが問われます。この例文は、前職への不満ではなく、次に何を得たいかという前向きな動機で転職理由を語っている点が効果的です。もみほぐし中心から、状態に合わせた施術へという目標が、応募先の方針とはっきり噛み合っているため、採用担当はミスマッチの心配なく読み進められます。
良い例の裏側には、採用担当が思わず手を止めてしまうNG例があります。代表的なものを、採用側がどう受け取るかとあわせて挙げておきます。
まず、人を癒したい、役に立ちたいという思いだけで終わる志望動機です。気持ちは大切ですが、それだけでは、なぜ整体なのか、なぜこの店舗なのかが伝わりません。整体でなくても叶う願望に聞こえてしまいます。次に、給与や休日といった条件面ばかりを強調する志望動機です。待遇を確かめること自体は当然ですが、それが中心になっていると、条件が良ければどこでもよいのだと受け取られます。三つ目は、前職や現職への批判です。人間関係が悪かった、評価されなかったといった理由をそのまま書くと、同じ不満をここでも口にするのではないかと警戒されます。四つ目は、勉強させてくださいという受け身で終わる志望動機です。学ぶ姿勢は大切ですが、それだけでは、こちらが何を与えられるかしか語っていないことになります。何を貢献できるかを一言添えるだけで、印象は大きく変わります。
良い志望動機を書くには、その前に、自分がどんな職場を志望するのかがはっきりしている必要があります。整体師の就職先は、大きく方向が分かれます。もみほぐしを中心とするリラクゼーション系の店舗と、お客様の身体の状態を見立てて施術を組み立てる整体系の院です。前者はマニュアルに沿って一定の施術を提供する場面が多く、後者は一人ひとりに合わせて考える力が求められます。どちらを目指すかで、志望動機に書くべき内容も変わってきます。
もう一つ確かめたいのが、雇用形態です。整体の現場には、正社員としての雇用と、業務委託という働き方があります。業務委託は自由度が高い反面、収入が施術数に左右されやすく、教育や保障の面で雇用とは扱いが異なります。未経験からしっかり技術を身につけたいなら、育成の仕組みが整った雇用の職場を選ぶほうが、土台をつくりやすいでしょう。志望動機は、こうした就職先選びの軸が定まってはじめて、その職場に向けた具体的な言葉になります。
整体師は資格を前提としないため、どこで働くかによって、数年後の姿が大きく変わります。技術を体系的に学べる環境で育てば、お客様の状態に合わせて施術を組み立てられる施術者になれます。一方で、教える仕組みのない職場では、決められた作業を繰り返すだけで年月が過ぎてしまうこともあります。未経験から整体師を目指すなら、就職先の教育体制こそ、最も重視すべき点だと言えます。
求人票には、ほぼすべての店舗が研修ありや未経験歓迎と書きます。同じ言葉でも実態には幅があるため、次の三つを確かめてください。一つ目は、誰が教えるのかです。先輩が片手間に教えるのか、教える役割が決まっていて仕組みが整っているのか。二つ目は、いつ教わるのかです。技術指導が勤務時間内に組み込まれているのか、営業後の自主練習に委ねられているのか。三つ目は、何を、どの順で学べるのかです。入店から数か月で何ができるようになり、その先どこへ進むのかという道筋が見えていると、成長のスピードが読めます。これらは求人票では分からないため、面接や職場見学の場で、遠慮せず入店1年目の一日の流れを尋ねてみてください。
ここまで書き方を述べてきましたが、良い志望動機の土台にあるのは、文章の技術ではありません。応募先の職場を、どれだけ深く知っているかです。職場の方針を理解し、自分の目標と重なる部分を見つけられれば、志望動機は自然と、その職場にしか出せないものになります。逆に、職場を知らないまま言葉を飾っても、使い回しの文章にしかなりません。
私たちmayplus-recruitは、東京・埼玉・千葉で自費の施術所を展開するCUREPROの採用窓口として、就職や転職の相談を受けています。未経験からどう技術を身につけていくのか、志望動機をどう組み立てればよいか、自分の目標がどんな職場と噛み合うのか、採用する立場から正直にお話しします。当社は、無資格や未経験からでも、技術を体系的に学びながら成長できる環境づくりに力を入れています。書く前に応募先を知りたいという段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
監修
阿部 純治(柔道整復師)
株式会社May-Plus 代表取締役。柔道整復師として臨床に携わったのち、東京・埼玉・千葉で自費の構造改善専門院CUREPROを展開。未経験からの育成を含め、施術者の育成に取り組む。