
整骨院の評価制度について検索すると、出てくるのは院長に向けた記事ばかりです。評価制度の作り方、導入事例、スタッフのやる気を引き出す設計。読者として想定されているのは、いつも評価する側です。
ところが、実際に評価制度に人生を左右されるのは、評価される側でしょう。何を達成すれば昇給するのか。誰が、どんな基準で判断しているのか。知りたい人のための情報が、驚くほど少ない。
柔道整復師として現場に立ち、いまは評価する側にもいる立場から、確かめ方をお伝えします。

面接で評価制度はありますかと尋ねれば、ほぼ確実にあると答えが返ります。制度と呼べるものが何もない院でも、院長の頭の中に判断基準があれば、当人はあると認識しているからです。
問うべきは存在の有無ではありません。基準が文書として存在し、あなたがそれを見られるかどうかです。

ここで、あまり知られていない法令の建て付けをお伝えします。
労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対し、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけています。そのうえで、必ず記載すべき事項を三つ定めました。労働時間に関する事項、退職に関する事項、そして賃金に関する事項です。
賃金の項目に含まれるのは、決定の方法、計算および支払の方法、締切りと支払時期、そして昇給に関する事項。詳細は厚生労働省の就業規則で、記載が必須な事項はありますかで確認できます。記載を欠いた場合、労働基準監督署の指導や是正勧告の対象になり得るほか、30万円以下の罰金も定められています。
つまり、一定規模の職場であれば、昇給の考え方は文書として存在していなければなりません。院長の胸の内にしかない、という状態は法の建て付けと噛み合わないのです。
もうひとつ重要な条文があります。就業規則には周知義務が課されており、作業場の見やすい場所に掲示するか備え付けるか、書面を交付するか、労働者がいつでも内容を確認できる機器を設置するか。いずれかの方法で、労働者が自由に読める状態に置く必要があります。
常時10人未満の事業場には作成義務がありません。ただ、作成し周知することが望ましいとされています。
| 確認対象 | 制度上の扱い | 職場で確かめること |
|---|---|---|
| 就業規則の作成・届出 | 常時10人以上の事業場では義務 | 就業規則がどこに保管され、いつ確認できるか |
| 昇給に関する事項 | 就業規則の必要記載事項 | 昇給の条件と判定時期が文書になっているか |
| 就業規則の周知 | 労働者が自由に確認できる状態が必要 | 掲示・備え付け・書面交付・電子閲覧のどれか |
| 常時10人未満の事業場 | 作成義務はないが、作成・周知が望ましい | 代わりに昇給基準を示す書面があるか |
※制度の適用や個別の労働条件について判断が必要な場合は、労働基準監督署や専門家へご相談ください。
整理します。評価制度そのものを公開せよという法律はありません。しかし昇給の基準は就業規則の必要記載事項であり、就業規則は周知しなければならない。ここから、少なくとも給与が上がる条件については、文書で確認できる可能性が高いと言えます。入職前に開示を求めることも、無理な要求ではないはずです。

実務家でも混同しやすい論点に触れます。評価によって給与が下がる場面には、性質の異なる二つが存在します。
ひとつは懲戒処分としての減給です。労働基準法第91条は、減給の制裁について上限を定めました。1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、複数回あっても総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。遅刻や規律違反への罰として給与を削る場合、この枠を越えられません。
もうひとつは、能力や役割の変更にともなう降給です。役職を外れた、等級が下がった。こちらは懲戒ではないため、91条の上限規定は適用されません。ただし降給の根拠となる制度が明示されていることが前提になります。
加えて、就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更することは、原則として労働者との合意なしにはできません。制度が突然変わり、昇給の条件だけが厳しくなる。そうした場面に出くわしたら、根拠を確認する価値があります。

制度の話から、業界の構造に踏み込みます。
保険を主な収益源とする施術所では、施術一回あたりの単価が制度によって決まっています。院として売上を伸ばそうとすれば、来院数を増やすか、保険外のメニューを積み増すか、道はおおむね限られる。
すると評価の指標も、そちらへ引き寄せられていきます。新規患者の獲得数、回数券の販売枚数、物販の売上。数えやすく、売上に直結する行動です。技術の深さや、患者さんの変化を捉える精度は、数字にしづらい。結果として評価表から抜け落ちる、ということが起こりえます。
技術を磨きたくて入職したのに、評価されるのは販売の数字だった。そんな違和感の正体は、院長の人格ではなく収益構造にあるのかもしれません。

ここまでを踏まえ、事実で答えられる問いに変換します。
※評価制度の有無ではなく、基準・評価者・実施頻度・給与への反映を事実で確認しましょう。

CUREPRO(株式会社May-Plus)は、東京、埼玉、千葉で10院を展開する整体院です。完全自費で運営しており、保険請求は行っていません。単価を自分たちで設計できるため、来院数を追いかける必要がなく、評価の指標を売上行動だけに寄せずに済んでいます。
評価の基準はスタッフ全員に公開しています。理由は単純で、何を満たせば次の役割や給与に進むのかが見えなければ、努力の方向が定まらないからです。基準が院長の頭の中にあるかぎり、スタッフは上司の顔色を読む技術ばかり上達してしまう。それは私たちが育てたい能力ではありません。
施術は力に頼らない方法を体系として学びます。慢性的な痛みから難治性の症状、スポーツ障害まで対応の幅を広げていきますが、外傷への対応は有資格者による判断が前提となるため、当院では扱っていません。スタッフの平均給与は42.7万円で、年間休日は選択制です。研修の中身は教育研修制度に、勤務条件は募集要項と福利厚生のページで開示しています。

評価制度は、頑張りを測る道具である前に、会社が何を大切にしているかの宣言でもあります。何を評価するかを見れば、その組織が施術者に何を求めているのかが分かります。
基準が見えない職場では、数年後の自分を描けません。描けない場所に、長く留まるのは難しいでしょう。評価表を見せてもらう。項目の比率を確かめる。昇給との接続を尋ねる。行動は、驚くほど具体的です。
いまの評価に納得できていない。何を頑張ればよいのか分からない。どの段階でも構いません。柔道整復師として現場に立ち、評価する側の設計もしてきた立場から、一緒に整理させていただきます。面接の一次には、代表の阿部が同席します。選ばれる理由もご覧いただいたうえで、エントリーフォームからご連絡ください。

昇給に関する事項は就業規則の必要記載事項であり、就業規則には周知義務があります。給与が上がる条件を確認したいと伝えることは、不自然な要求ではありません。
作成と届出の義務があるのは、常時10人以上の労働者を使用する事業場です。それ未満の規模では義務ではありませんが、作成し周知することが望ましいとされています。
懲戒処分としての減給には、労働基準法第91条による上限があります。一方、能力や役割の変更にともなう降給は懲戒とは別の扱いで、制度上の根拠が明示されていることが前提となります。個別の判断は専門家にご相談ください。
保険を主な収益源とする場合、施術一回あたりの単価が制度で決まるため、来院数や保険外メニューの販売が評価指標になりやすい傾向があります。収益構造が指標を規定している面があります。
評価表が文書になっているか、評価項目の内訳、評価者と実施頻度、評価結果と昇給額の結びつき。事実で答えられる問いを選ぶと、制度が運用されているかどうかが見えてきます。
厚生労働省「確かめよう労働条件」就業規則で、記載が必須な事項はありますか(労働基準法89条)
e-Gov 法令検索「労働基準法」(第89条、第91条、第106条、第120条)
制度の内容は公表時点のものです。法令は改正されることがあるため、最新の情報は各出典をご確認ください。個別の労働条件や処遇に疑問がある場合は、労働基準監督署や都道府県労働局などの公的窓口、または社会保険労務士や弁護士にご相談ください。
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