2026.07.13

整骨院の福利厚生を読み解く|義務である制度と上乗せの見分け方

整体師正社員求人の施術・研修風景

整骨院の採用ページを開くと、福利厚生の項目が並んでいます。社会保険完備、健康診断、交通費支給、住宅手当、懇親会補助、サークル活動支援。数が多いほど、大切にされている職場に見えてきます。

ところが、並んでいる項目の性質は同じではありません。法律が事業主に課している義務と、会社が独自に用意した上乗せが、同じ一覧に混ざっているからです。

柔道整復師として現場に立ち、いまは人を雇う側にいる立場から、読み解き方をお伝えします。

阿部純治
阿部純治
社会保険や健康診断など法令上の義務と、住宅手当など会社独自の上乗せ制度を分けて求人票を読みましょう。

福利厚生は、二種類に分かれます

法定福利厚生と会社独自の福利厚生を整理する求職者

制度を大きく分けると、法定福利厚生と法定外福利厚生になります。前者は法律で義務づけられたもの、後者は会社が任意で設けたものです。

求人票の福利厚生欄を眺めるとき、まずこの線を引いてください。義務を並べているのか、上乗せを並べているのか。線を引くだけで、景色が変わります。

制度分類確認すること
健康保険・厚生年金保険法定福利事業所の形態と加入条件
労災保険・雇用保険法定福利雇用保険は所定労働時間などの加入条件
健康診断事業者の義務実施時期と費用負担
住宅手当・特別休暇・研修補助など法定外福利対象条件、利用実績、自己負担の有無

※「制度あり」という名称だけでなく、自分が対象になる条件と実際の利用状況まで確認しましょう。

社会保険完備は、特典ではありません

健康保険と厚生年金保険については、すべての法人事業所が強制適用事業所とされています。従業員が1人であっても、事業主のみであっても、加入は義務です。個人事業所の場合も、常時5人以上を使用する法定17業種に該当すれば強制適用となります。根拠は日本年金機構の適用事業所と被保険者で確認できます。

労働保険も同様です。労災保険と雇用保険は、常勤やパートといった名称や雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇っている事業所に加入義務があります。労災保険の保険料は、全額が事業主負担です。雇用保険については、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続き雇用される見込みがあれば対象になります。

つまり、株式会社が運営する整骨院で社会保険完備と書かれていても、それは法律を守っているという意味にとどまります。誇るべき制度ではなく、あって当たり前の前提です。

健康診断も、事業者の義務です

意外に知られていない論点を挙げます。労働安全衛生法第66条は、事業者に対して労働者への健康診断の実施を義務づけています。雇入れの際と、その後は1年以内ごとに1回。費用は事業者が負担すべきものとされ、実施を怠った事業者には50万円以下の罰金が定められています。制度の概要は厚生労働省の労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょうで読めます。

整理します。社会保険、労災保険、雇用保険、健康診断。これらが福利厚生として大きく掲げられている求人票を見たとき、読み取るべきは手厚さではありません。義務を特典として並べる必要があるほど、上乗せが乏しいのかもしれない。そういう仮説が立ちます。

誤解を招かないよう補足すると、義務を果たしている職場は正しい職場です。問題は、義務と上乗せを見分けられないまま比較してしまうことにあります。

阿部純治
阿部純治
制度名だけで判断せず、対象条件、利用実績、固定残業代との関係、休日の参加が必要かまで確認することが大切です。

上乗せの中身を、疑ってください

整骨院の手当や福利厚生の実態を確認する求職者

では、法定外の制度をどう評価すればよいのでしょうか。三つの視点をお伝えします。

手当が、固定残業代の言い換えになっていないか

これは業界を問わず起こります。求人票に並ぶ手当の一部が、実は一定時間分の時間外労働の対価として支払われる固定残業代である場合があるためです。

基本給がいくらで、どの手当がいくらで、そのうち固定残業代に相当するのは何時間分か。内訳を確認しないまま総額だけで比べると、実質的な時給が見えません。手当が多い求人ほど、内訳を尋ねる価値があります。

懇親会やBBQは、休日を削っていないか

仲間との時間を大切にする文化そのものは、悪いものではないでしょう。ただ、扱いには注意が要ります。

厚生労働省のガイドラインは、労働時間を使用者の指揮命令下に置かれている時間と定義し、参加が業務上義務づけられている研修や教育訓練の受講時間は労働時間に該当すると示しています。自主参加とされていても、参加しないことで不利益な取扱いを受けるなど実質的に強制されているなら、同じ評価を受ける可能性がある。詳細は労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインにあります。

年間休日が少ない職場で、休日のイベントが福利厚生として並んでいる。そんな組み合わせを見たら、休みが休みとして機能しているかを確かめてください。

その制度は、実際に使われていますか

産休や育休、アニバーサリー休暇。制度として存在することと、使える空気があることは別物です。過去に取得した人が何人いるのか、復職した人が何人いるのか。面接で数字を尋ねれば、実態が見えてきます。

数字を答えられない、あるいは答えを濁す。それも情報として受け取ってください。

阿部純治
阿部純治
実際の生活を支えるのは、手取りにつながる賃金、自由に使える休日、無理のない労働時間です。福利厚生と合わせて比較してください。

結局のところ、生活を決めるのは三つです

給与と休日と労働時間から生活を考えるスタッフ

読書手当や予防接種補助は、あれば嬉しい。ただ、あなたの生活水準を実際に左右するのは、基本給と年間休日と、技術が報酬に反映される仕組みの三つでしょう。

年間休日が110日か120日かで、1年に10日の差が出ます。10年勤めれば100日。福利厚生の項目数がいくら多くても、埋め合わせられる差ではありません。

そして忘れてはならないのが、昇給の設計です。何を達成すれば給与が上がるのか。基準が公開されているなら、努力の方向が定まります。基準が見えない職場では、どれほど制度が並んでいても、数年後の自分を描けません。福利厚生の一覧より、評価制度のほうがはるかに雄弁です。

私たちCUREPROの考え方

CUREPROで身体の状態を確認する実際の施術風景

CUREPRO(株式会社May-Plus)は、東京、埼玉、千葉で10院を展開する整体院です。完全自費で運営しており、保険請求は行っていません。スタッフの平均給与は42.7万円で、年間休日は選択制としています。働き方を自分で選べることを、制度の中心に置いてきました。

評価の基準はスタッフ全員に公開しています。何を満たせば給与や役割が変わるのかが見えなければ、制度の数を増やしても納得は生まれないと考えるからです。施術は力に頼らない方法を体系として学びます。慢性的な痛みから難治性の症状、スポーツ障害まで対応の幅を広げていきますが、外傷への対応は有資格者による判断が前提となるため、当院では扱っていません。

制度の詳細は福利厚生のページに、研修の中身は教育研修制度に、勤務条件は募集要項で開示しています。書かれていないことがあれば、面接の場で遠慮なく尋ねてください。答えられないことがあれば、そう申し上げます。

福利厚生の中身を確かめたいなら、CUREPROに相談してみませんか

福利厚生と働き方の中身を相談する求職者

福利厚生が充実していますかと尋ねても、どの職場も肯定します。面接では、次のように問いを具体化してください。

  • 法律上の義務ではなく、会社独自に設けている制度はどれですか
  • 基本給と各手当、固定残業代の内訳はどうなっていますか
  • その制度を昨年利用したスタッフは何人ですか
  • 年間休日は何日で、研修や社内行事は休日に行われますか

※制度名だけで判断せず、対象条件・利用実績・固定残業代との関係・休日参加の有無まで確認しましょう。

事実で答えられる問いを重ねていけば、その職場が従業員に何を投じているのかが輪郭を現します。入職してからの落差も、かなり小さくなるはずです。

いまの待遇に納得できていない。制度は多いのに満たされない。どの段階でも構いません。柔道整復師として現場に立ち、組織をつくってきた立場から、一緒に整理させていただきます。面接の一次には、代表の阿部が同席します。選ばれる理由もご覧いただいたうえで、エントリーフォームからご連絡ください。

制度の数ではなく、中身で選ぶ

完全自費、平均給与42.7万円、年間休日選択制、評価基準を公開。東京、埼玉、千葉で10院を展開しています。

エントリーする 募集要項を見る

よくある質問

整骨院の福利厚生に関する疑問を整理する求職者
社会保険完備は手厚い福利厚生といえますか

すべての法人事業所は健康保険と厚生年金保険の強制適用事業所です。労災保険と雇用保険も、労働者を1人でも雇えば加入義務があります。法定福利であり、上乗せの制度とは性質が異なります。

健康診断があるのは良い職場のしるしですか

労働安全衛生法第66条により、事業者には健康診断の実施義務があります。雇入れの際と1年以内ごとに1回、費用は事業者負担が原則で、実施を怠ると50万円以下の罰金が定められています。

手当が多い求人は待遇が良いのでしょうか

手当の一部が固定残業代である場合があります。基本給、手当ごとの金額、固定残業代に相当する時間数を確認してください。総額だけでは実質的な水準が見えません。

懇親会やレクリエーションは労働時間になりますか

参加が業務上義務づけられている場合は労働時間に該当するとされています。自主参加とされていても、不参加で不利益な取扱いを受けるなど実質的に強制されていれば、同様に評価される可能性があります。判断に迷う場合は労働基準監督署にご相談ください。

面接で福利厚生について何を聞けばよいですか

義務ではない制度はどれか、手当の内訳、昨年その制度を利用した人数、年間休日の日数。事実で答えられる問いを選ぶと、制度が運用されているかどうかが見えてきます。

監修者

阿部純治

阿部 純治(あべ じゅんじ)

株式会社May-Plus 代表取締役。柔道整復師。東京、埼玉、千葉で完全自費の整体院CUREPROを10院展開。保険に頼らない構造改善型のモデルを軸に、施術者が納得して働ける制度と評価の仕組みづくりに取り組んでいる。

監修者X:阿部純治(@curepro_seitai)

参考資料

日本年金機構「適用事業所と被保険者
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

制度の内容は公表時点のものです。法令は改正されることがあるため、最新の情報は各出典をご確認ください。労働条件や制度の適用について疑問がある場合は、年金事務所、労働基準監督署、都道府県労働局などの公的窓口にご相談ください。

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