2026.07.15

柔道整復師の研修は2種類ある|施術管理者研修と職場の教育

柔道整復師の研修について調べると、多くの場合、施術管理者研修という制度の話にたどり着きます。開業や受領委任にかかわる大切な研修ですが、これだけが柔道整復師の研修ではありません。じつは、柔道整復師にとっての研修には、意味の異なる二つの種類があります。

一つは、いま述べた施術管理者研修です。これは、健康保険を扱う整骨院を開くために、制度として受けることが決められている研修です。もう一つは、就職した院で技術を伸ばしていくための、職場の研修や勉強会です。前者は制度として避けて通れないもの、後者は自分の実力を左右するものです。どちらも研修と呼ばれますが、性格はまったく違います。

この記事では、まず施術管理者研修の要件や日程、費用を正確に押さえたうえで、就職先選びで本当に効いてくる、職場の教育体制の見抜き方までを、採用する側の視点で解説します。

柔道整復師の「研修」には、2つの意味がある

混乱を避けるために、最初に二つの研修を整理しておきます。一つ目が、施術管理者研修です。健康保険の受領委任を扱う施術管理者になるための要件の一つで、公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施しています。開業を考えるなら、いずれ必ず関わる制度です。二つ目が、職場で受ける技術研修や勉強会です。こちらは制度ではなく、就職した院がそれぞれの方針で行うもので、内容も密度も院によって大きく異なります。就職先を選ぶうえで見極めるべきなのは、実はこの二つ目のほうです。順番に見ていきます。

施術管理者研修とは、どんな研修か

施術管理者研修は、整骨院や接骨院で健康保険の受領委任を扱う責任者、いわゆる施術管理者になるために受ける研修です。かつては柔道整復師の資格さえあれば施術管理者になれましたが、平成30年4月から、資格取得後の実務経験と、この研修の修了が要件に加わりました。背景には、療養費の適切な請求と、施術の質を確保するというねらいがあります。(出典:厚生労働省 施術管理者の要件について

研修では、施術管理者として求められる職業倫理、適切な保険請求のルール、患者さんへの接し方、施術所の管理やリスクへの備え、医療機関との連携、広告の制限といった内容を学びます。技術を教わる研修ではなく、保険を扱う責任者として、制度を正しく運用するための知識を身につける場だと理解しておくとよいでしょう。おおまかな概要を、次にまとめます。

項目内容
目的受領委任を扱う施術管理者の質を確保する(平成30年4月から要件化)
実施機関公益財団法人 柔道整復研修試験財団
研修時間2日間、計16時間
受講料2万円台が目安(実施年により変動。最新は実施機関で確認)
修了証の有効期限修了した日から5年間
受講の前提一定の実務経験(令和6年4月以降は3年)

研修の日程・費用・申し込み

研修は、土日などの連続した2日間で、合わせて16時間の講義として行われます。近年はオンラインでの実施が中心で、オンラインで参加できない場合に会場での受講が用意される形が一般的です。受講料は2万円台が目安ですが、実施年によって変わるため、申し込みの前に実施機関の案内で確認してください。申し込みは、公益財団法人柔道整復研修試験財団のホームページから受け付けています。開業や独立を予定している人ほど優先して受講できる仕組みになっているため、開業の時期が見えてきたら、早めに日程を確認しておくと安心です。

研修を受けるには、実務経験が要る

ここが、就職先選びと直結する重要な点です。施術管理者研修を受けて施術管理者になるには、令和6年4月以降、3年間の実務経験が必要です。しかも、この実務経験はどこで働いても積み上がるわけではありません。受領委任を登録した施術所での勤務が基本で、少なくとも1年は施術所での経験が必要です。整形外科などの保険医療機関での勤務も認められますが、こちらは最長で2年まで。そして、デイサービスや介護施設で機能訓練指導員として働いた期間は、この実務経験には含まれません。(出典:厚生労働省 施術管理者の要件について

つまり、いずれ開業を考えるなら、最初の数年をどこで過ごすかが、施術管理者になれる時期そのものを決めます。実務経験のカウントについては、機能訓練指導員の解説や、就職先を2つの軸で整理した就職先の選び方もあわせてご覧ください。

もう一つの研修 — 職場の技術研修と教育体制

ここからが、採用する側としてもっとも伝えたい部分です。施術管理者研修が制度の入り口だとすれば、その入り口に立つまでに技術を育ててくれるのは、就職した院の研修や勉強会です。国家試験に合格した時点では、柔道整復師の技術はまだ入り口に立ったばかりです。そこから何年もかけて磨いていく技術の伸びを、大きく左右するのが、職場の教育体制です。

そして、この教育体制こそ、院によって最も差が出る部分です。求人票にはどの院も研修ありと書きますが、その中身は驚くほど幅があります。だからこそ、就職先を選ぶときは、この一言の中身を確かめることが欠かせません。

「研修あり」の中身を見抜く

研修ありという言葉を見たら、確かめてほしいことが三つあります。一つ目は、誰が教えるのかです。院長一人が手の空いたときに教えるのか、それとも複数の先輩が関わり、教える仕組みが整っているのか。二つ目は、いつ教わるのかです。技術指導が勤務時間内に組み込まれているのか、それとも診療後の自主参加なのか。ここは労働時間の扱いにも関わるため、確認しておいて損はありません。三つ目は、何を、どの順で学べるのかです。行き当たりばったりではなく、一年目に何を身につけ、二年目に何へ進むといった道筋が見えていると、成長のスピードが読めます。これらは求人票では分からないため、職場見学の場で直接確かめるのが確実です。見学で確かめる具体的な方法は、整骨院の職場見学の記事にまとめました。

研修時間と休日は、トレードオフになりやすい

もう一点、頭に入れておきたいことがあります。技術を学ぶ時間と、休日の多さは、しばしば両立しにくい関係にあります。休日が多く働きやすい院は、そのぶん勤務時間内に学べる時間が限られる場合があります。逆に、みっちり技術を学べる院では、その時間が勤務後や休日に置かれていることもあります。どちらが良いという話ではありません。自分が今、休みの多さと技術の伸び、どちらを優先したいのかを先に決めておくと、研修という言葉の見え方が変わってきます。

制度の研修と職場の研修は、つながっている

二つの研修は、別々のものに見えて、実は一本の線でつながっています。施術管理者研修は、開業へ進むための制度上の入り口です。けれど、その入り口に立ったとき、通用する技術を持っているかどうかは、それまでに職場でどんな教育を受けてきたかで決まります。制度の研修を修了しても、技術が伴っていなければ、開業してから苦労するのは目に見えています。

だからこそ、最初の就職先を選ぶ段階で、この二つを同時に見ておくことが大切です。3年後に施術管理者研修を受けられる実務経験が積める職場か。そして、その3年で通用する技術を育ててくれる教育体制があるか。この両方がそろってはじめて、開業や独立という次の一歩が現実になります。最初の3年の重みについては新卒の就職先選びで、独立を含めた先の展望は柔道整復師の将来性で、それぞれ詳しく触れています。

研修や教育体制で迷ったら、育てる側に聞く

制度としての施術管理者研修は、要件を調べれば道筋が見えます。けれど、職場の教育体制が実際どうなっているかは、求人票を眺めていても分かりません。研修ありの一言の中身を知りたいなら、実際に人を育てている側に直接聞くのが近道です。

私たちmayplus-recruitは、東京・埼玉・千葉で自費の施術所を展開するCUREPROの採用窓口として、就職や研修に関する相談を受けています。どんな教育体制のもとで技術が伸びるのか、3年でどこまで到達できるのか、その先に施術管理者研修や開業がどうつながるのか。採用する立場から、正直にお話しします。研修や教育体制で迷ったら、応募の前でも構いませんので、一度ご相談ください。

監修

阿部 純治(柔道整復師)

株式会社May-Plus 代表取締役。柔道整復師として臨床に携わったのち、東京・埼玉・千葉で自費の構造改善専門院CUREPROを展開。慢性痛から難治症状まで対応できる技術者の育成に取り組む。